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No.96 2010年2月 4面
 
子どもの目線からの保育
 保育所は、誰のためのものでしょうか?
 勿論、仕事をもつ親のためのものという側面もありますが、第一に働く親をもつ「子ども」のための場所と考えることが自然だと思います。保育所で働き、たくさんの子どもたちと接し、保護者の声を聞く中で、そのあたりまえのことが置き去りにされていることを感じ、昨年保育所を考える「まゆの会」を立ち上げました。
 給食を食べることも、お昼寝さえも、急いで、より速くすることが求められ、ゆっくり楽しく自分のペースの子どもは怒鳴られてしまう。多忙な大人の速さを子どもに要求している保育所が存在しています。「もっと急いで、もっとたくさんやって」を合言葉に、私たち大人は、過酷な競争社会や受験戦争、環境破壊を作り出してしまいました。今はその代償を払っている時代と言われています。私たちは、立ち止まらなくてはいけないのではないでしょうか? 子どもたちには、のんびりと、温かく見守られながら育っていってほしいと願います。そして、大人になって、豊かに実ってほしいと願います。
 「まゆの会」では、働くお母さんの声を集める活動をしています。その中で今、子どもの心を何より大切に守る保育を望む声が多く寄せられています。子どもを急がせるあまり怒鳴ったり、規則を守らせるためには子どもの心に寄り添うことは後回しという保育には不安の声があがっています。子育てに正解がないように、絶対に正しい保育というものはなく、常に模索が必要です。活動を通し、みんなで一緒に模索していきたいと思っています。
 十一月には、「子どもの目線からの保育」をテーマに、保育について造詣の深いジャーナリストの猪熊弘子さんの講演会を、市民ネットとの共催で開催しました。猪熊さんは「子どもの人間としての権利を守ることが何より大切」とおっしゃり、民営化や最低基準の緩和を例にとり、あらゆることが経済優先、効率優先の「大人の目線」で進められている今の保育行政に、問題を投げかけました。 
 子どもを「管理する」保育所ではなく、子どもを「信じて見守る」保育所が求められ始めています。それを実現することが、子どもたちの明るい現在、そして未来を保障すべき私たち大人の責任ではないでしょうか。
保育所を考える「まゆの会」 代表 本田真夕
 
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