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No. 2010年7月 2面


市民ネットワーク 6月議会レポート

小室 みえこ
児童虐待の取り組みと対策
 今年の1月、江戸川区において小学校1年生の男児が虐待死してしまった事件がありました。その後、半年間に乳幼児が被害者となってしまった11のケースのうち8件は死亡につながる最悪の事態です。
 また、6月4日には中学生が自宅トイレに11日間も監禁されていた虐待事件も発覚しました。


小室 長期欠席児童の自宅を訪ねても安全を確認(面会)できない状況は珍しいことではありません。しかし、これまでの虐待による被害から教訓を得ておらず、子どもの置かれている虐待の実態について理解されていない事が問題だと考えます。
 虐待については身体の傷の有無を手がかりとする傾向が強く、あざや、怪我、傷にばかりに注目して監視の目を光らせる防止策に偏ることが危惧されます。犯人探しが目的ではなく、子どもの安全と同時に支援が必要な保護者を救済していくことも課題です。
 身体的、心理的、ネグレクト、性的虐待についても集団生活の現場である保育所・学校での取り組みと対策にどのように取り組んでいるのでしょうか?問題を抱える児童の担任や担当者を孤立させることなく、周囲がどのようにバックアップをしているかについてお聞きします。

学校教育部長 校長会、教頭会を始め、職員会議や朝の打合せ等の機会を通して虐待の発見や対応について取り組み早期発見・対応・情報の共有等をするなどの取り組みをしています。また、長期欠席児童への対応や子どもを取り巻く職員(担任をはじめ、校長、教頭、スクールカウンセラー、養護教諭)など学校全体で見守っています。

小室 学校全体で子どもたち見ていく姿勢は大事ですが、現場の実態・子どもたちの声をどのように聴いていくかが重要です。
 他市のケースですが私が暴力防止の活動で出会った子どもたちの声は周りの大人には届いていませんでした。 ある小4の女の子は、優秀な成績を両親に期待されながら、応える事が出来ずに自分は生きている資格がない、死んでしまった方がいいと思っていました。彼女は「私は、生きていていいんですか?」と聞いてきたのです。
 また、別の学校ですが、小4の男の子は、家の水道を止められ、夜遅くに帰ってくる母親を何も食べることなく待つ日が続きましたが、誰にも相談していませんでした。「なぜ、誰にも言わなかったの?」とたずねると「おれのプライドだ」と言ったのです。その時点で学校側は、このような実態を把握できていませんでした。
 子どもの視点が置き去りにされているのが現状です。虐待を発見しやすい立場にいる職員、先生方の研修は具体的にどのように実施しているのでしょうか?

教育長 日々研修に励んでおり、新規採用職員、野田に赴任してきた先生にも人権教育や教員虐待の研修も実施しています。子どもたちの健やかな成長のため、校長、教員、事務職員、養護教諭など全体で育てる意識で取り組む対策の周知をはかり実践しています。

小室 被害にあった子どもの声をいかに聴けるかが課題であり、人権を根っこにおいて、虐待を予防する対策と起きてしまった虐待の対応に横のつながりを活用してしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

(小室みえこのコメント)
 日々研修に励んでいるとの答弁でしたが、現実には虐待によって傷ついている子は少なくありません。研修の成果が一人でも多くの被虐待児を救うことができるよう実践的な手立てを要望します。
 虐待は特別な家庭だけの問題ではありません。いちばん身近な家族から心や体を傷つけられる子どもたちはその後の人生にも大きな影響が残ります。
 保育所・学校・地域の中で管理、監視の目だけで虐待を発見することはできません。子どもの話を聴ける大人を一人でも増やす努力が虐待を予防する大きな一歩になると考えます。






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