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2013年5月 4・5面
岡田さわこ 3月議会レポート
(有)柏廃材処理センター
〜健康被害の深刻化〜
 現在、渠数p材処理センター(柏廃材と略す)が引き起こしている健康被害を立証するために、国の公害等調整委員会(公調委と略す)の裁定が始まっています。被害者の会発足当時は3名の申請人でしたが、現在は23人に増えました。(1.5qから2q以内のところに2人増)公調委の裁定に向けて被害の拡大を明確にしていけると思います。
 申請人の病状は柏廃材の操業開始後から、頭痛・吐き気・ひどい咳やぜん息・アレルギー性結膜炎など目に出る症状・甲状腺疾患・不整脈・帯状疱疹・口内炎ができやすいなどの症状を訴えています。市は2月に柏廃材から半径2q以内の地域と比較対象とする4地域の全世帯、及び在勤者を対象に健康被害アンケートを行いました。現在集計中で分析方法については、弁護団と今後協議することになって
います。この分析に関しては、2010年8月に県が行った健康被害調査の分析を岡山大学の津田敏秀教授に依頼しました。前回と比較するうえで今回も分析者の一人は、津田教授に依頼すべきだと要望しました。
 また、公調委の裁定結果が出るまで何年もかかるため、その間も柏廃材は異常な化学臭や悪臭、VOCを排出し続けることが予想されます。
。 12月議会で指摘したトルエン、ベンゼン、スチレン、ジクロロメタンの発火点が413℃から490℃なので、このような物質が指針値を超え、排出されたということは、燃焼が不充分であり、県が指導している燃焼温度800℃以上で運転されていないのではないでしょうか。県は市に対して柏廃材から提出させている「運転管理報告書」と「県が今年度調査した生データ」の提供を拒否しています。市はもっと県に対して強くデータなどの提出を求め、問題解決に向けて取り組んでいく姿勢が必要だと指摘します。


原発事故を想定した
地域防災計画の見直しを!
 東日本大震災による福島第一原子力発電所事故が起きてから、2年がたちました。各自治体では、地域防災計画の見直しが行われています。

@福島第一原発4号機の使用済み核燃料プールがむき出しになり、かつ1、2、3号機のメルトダウンした核燃料がいまだ危険な状態にあること
A野田市から約100qの距離にある老朽化の激しい東海第二原発は1999年9月JOC臨界事故では2人が死亡し、700人近くの人が被ばくしていること
B横須賀市にある核燃料工場は、野田市から約100qの距離にあること
C常磐自動車道は茨城県や東北地方の原発に使用される核燃料や使用済み核燃料の輸送に使用されていること
 以上、@Aのこれまでの想定外の原発事故は、再び起きないとも限りません。また、BCの核燃料工場や輸送中に万が一の事故が起きたら、甚大な被害の可能性は否定できません。

岡田 東日本大震災における、原発事故の放射性物質の環境汚染被害や被ばくを踏まえ、今後このような事故が起こった場合に情報収集や伝達体制、避難体制の整備についての具体策を野田市防災計画の策定の見直しをするにあたり、盛り込んでいく必要があると考えます。その具体的内容については?
民政経済部長 千葉県地域防災計画を受け、野田市地域防災計画を見直し、放射性物質事故が発生した場合に備える予防計画、また、事故が発生した場合の、応急対策計画・復旧計画を策定する事を考え、具体的な対応については、県の放射性事故対応マニュアルが策定されたら検討し、原子力災害対策指針の改定も反映させ、作業を進めていきます。また、福島第一原発4号機と東海第二原発の地震火災人為的ミスによって発生する事故や、核燃料物質の輸送中の事故について想定することを考えています。
           
岡田 県内八か所に モニタリングポスト が設置されています。(近いところで柏市の田中小学校)しかし、県の管轄であるため、いち早く市が把握できるわけではありません。野田市においても日常的にモニタリングポストを設置していれば、線量の上昇をリアルタイムに市民に知らせることができます。設置は考えていますか?

環境部長 国や県が同一の測定仕様により、広域的に継続して観測データを一元管理すべきものと考えており、市で設置することは考えておりません。

岡田 常磐自動車道などで事故が起きた場合を想定して、ヨウ素剤の備蓄について検討する時期に来ています。副作用の問題や服用するタイミングが難しいので医師のアドバイスを受けたり、市民が勉強する必要があると考えますが市の方向性は?

民政経済部長 「原子力災害対策指針」の中ではヨウ素の配布についても記述されており、今後の課題もありますが、県のマニュアルも参考にしながら対応していきます。

岡田 福島の事故では、国の方から ※放射性プルーム の情報を全く知らされなかったので今後、事故が起きた場合に放射性プルームの情報を市もキャッチし、迅速に市民に知らせる必要があります。国や県との情報共有システムは、現在どのようになっていますか?

民政経済部長 市と県との連絡市と連絡を密にした情報収集に努めるということが一番と考えています。マニュアルの中でその辺の体制の基準をキチンと定めていきます。

岡田 これまで2回の防災会議では原発事故を想定した議論は何もなされていませんでした。「原子力災害対策指針」改定案が2月27日に出ています。是非、防災委員の方にも読んでいただき、野田市の防災計画にも反映させ、矛盾点があるところに関しては国に対しても意見を言っていただきたいと考えますが、市の見解は?

民政経済部長 これまで防災会議の議論は地震編を主にやっており、当然大規模災害編の中では、大規模災害、あるいは放射能対策が議論対象になると考えています。

岡田 この防災計画を策定するにあたり、原発の事故などを想定した場合、野田市だけの問題ではないと考えます。9市と連絡を密に取り合って勉強し合い、情報交換していただきたいと考えますが、市の見解は?

民政経済部長 防災については、連絡会議というのは特に定めていません。今のところ、共同で何かやることは考えていません。

岡田さわこのコメント
 国の指針や県のマニュアルの受け身ではなく、積極的な仕組みの構築を提案することも必要です。そのためにも、千葉県内汚染状況重点調査地域に指定された9市で連携をとり、これから策定する地域防災計画に反映していくことが必要です。

※モニタリングポスト とは…
 放射線を定期的に、または連続的に監視測定するために設置された装置

※放射性プルーム とは…
 原発事故などにより飛散した微細な放射性物質が、大気に乗って煙のように流れていく現象。いわゆる「放 射線ホットスポット」の形成に関与しているものと見られ、分析が進められている。


                                                (岡田さわこ)




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