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No. 2011年2月 3面


市民ネットワーク 12月議会レポート

岡田 さわこ
深刻な健康被害の広がり
(有)柏廃材処理センター (産業廃棄物処理施設)


 相変わらず、ひどい化学薬品臭や燃えカス臭、重い空気が漂っている日が続いています。(有)柏廃材処理センター(以下、柏廃材と略します)近くはもちろん、梅郷駅、みずきのスーパーいなげや付近まで化学臭のひどい日がありました。

 地元の化学物質過敏症を発症している人は、
「11月下旬の雨の日は特に頭痛がひどく、血圧が上昇し、嘔吐に悩まされた。化学物質専門医の診断では、心臓に化学物質が溜まっているため治療をしている」

 (有)柏廃材処理センター付近で、2年間朝晩、3時間ずつ新聞配達をしている四十代前半の男性は、
「今年に入ってから頭がモウロウとし、物忘れがひどくなり、体が常にだるく、急激に視力が低下した。原因は、(有)柏廃材処理センターで間違いない。何とか稼動を停止してほしい」

 週1回、定期的に二ツ塚小学校に通っている保護者は、
「7月、8月は体がだるくて動くのが辛く、現在でも小学校から帰ってくると調子が悪く、目が痛くなって涙が出たり、鼻水が止まらなくなり、頭痛もちではないのに偏頭痛にも悩まされている」

 柏廃材から800メートル程度離れた所で仕事をしていた人も、
「体に化学物質が溜まり、約1ヶ月半もほとんど寝たきりの生活を余儀無くされた。風向きによっては、リンパ腺が腫れたり、頭痛やモウロウ感に悩まされ、北里大学の化学物質専門医から、化学物質過敏症、中枢神経障害、眼球運動障害と診断された。スーパーなどに買い物に行くと、魚売り場の塩素の臭いで具合が悪くなり、日常生活にも支障がある」
と訴えています。

 柏廃材が点検などで稼動を止めている日は、空気が綺麗で体が楽であると地元の人は感じています。何とか、因果関係をはっきりさせて、原因を究明していくべきであると考えます。
『健康被害の直接要因は、VOC等の濃度ではなく、濃度が低くても物質の毒性の強さによるものである』という専門家の指摘から、詳細な調査を要請するために「被害者の会」と「大気汚染から生命を守る会」が10月29日に県や市に申し入れ書を提出しました。それに対し、県や市からの回答は、「これから調査をしていく。」ということにとどまりました。健康被害が広がっている現状を鑑みると、これまでの調査や分析は充分ではないのに、市は主要な8物質(ベンゼン、アセトン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、メチルエチルケトン)に限定して調査を行うとしています。しかし、この8物質だけの測定では今の健康被害の状況との因果関係がつかめません。専門家によると、杉並病と症状が似ていること、そして極めて濃度が低くても毒性が非常に高いイソシアネートや有機シアン化合物等の影響が非常に高い、としています。よって、調査対象VOCをより毒性の強い物質に重点をおき、分析を行う必要があることを強く訴えていきます。


公共施設における薬剤の不適切な使用をやめましょう!

 2008年1月に、国は「建築物における維持管理マニュアル」において、IPM による防除体系のもとに、人の健康に対するリスクと環境への負荷を最小限にとどめるような方法で、
1.事前に害虫の生息調査をすること
2.薬剤を使用する場合でも処理前後の少なくとも三日間はその旨の掲示を行うこと
3.日常的に乳幼児がいる区域については、薬剤による処理を避けること
となっています。

岡田 市内の小学校のトイレを何校か視察した際に、トイレの消臭・芳香剤にパラジクロロベンゼンが使用されているケースがありました。また、三箇所の学童保育所でも使用されていました。これは、「学校安全衛生の基準」で室内空気濃度に規制値がある物質であり、常温で成分が揮発し、発がん性の疑われている危険な物質で、埼玉県や愛知県では県の通知でその使用を禁止しています。保育所では、ねずみなどの生息調査を清水保育所以外では行っていません。実施状況もほとんどの保育所が年2回(6月と9月)に定期的に行っていました。保護者宛てのお知らせには、単に室内消毒と書かれているだけで、薬剤の種類なども明記すべきではないでしょうか。また、9月20日の夜8時に、市役所内の全館消毒が行われました。職員だけには、2週間前に知らせてあったということですが、市民にはその場で貼り紙が貼られただけで、次の日に消毒したという掲示は出されていませんでした。野田市内の公共施設においてIPMの実施が国の「建築物における維持管理マニュアル」に沿って実施されているでしょうか。

総務部長 市では「建築物における維持管理マニュアル」については、認識は全くしていませんでした。そのため、生息調査を実施しても、機械的に薬剤による防除を実施してしまい、人や環境に対する影響を配慮することや薬剤散布する前後三日間以上は掲示案内する措置も実施しておりませんでした。そのため至急改善すべきと考えており、柏市や千葉市、名古屋市、岐阜市などは基本指針を作成しており、全施設における薬剤等使用についての指針とマニュアルを作成していきたいと考えています。

IPM(総合的有害生物管理)とは、薬剤偏重による人や環境への悪影響を低減するために、事前に生息調査を行い、最適な防除対策を行うためのシステム

岡田さわこのコメント
 マニュアルを知らなかったことには驚きましたが、先進的な他市をお手本にして是非作成してください。




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